この窓の向こう側

小説•エッセイ集

広島にいる正義の味方

いつからだろう。

あのお気に入りの帽子を人前でかぶれなくなってしまったのは。

子供が縁日で無駄遣いするような感覚のあの帽子。

一時、僕のアイデンティティとなったあの帽子。

隣の人と仲良くなれる、魔法の帽子。

憧れの筑紫さんが好きだと言った、あの帽子。

 

かぶれなくなった。

いつからか、かぶって人前に出れなくなった。

それでも、塞いだ心をこじ開ける正義の味方が今でも好きだ。

真っ赤な、真っ赤な正義の味方。

でも、やっぱもうかぶれないかな。